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6-8 京極と二階堂 2

ผู้เขียน: 結城 芙由奈
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-05-22 19:03:21

二階堂は抱き寄せた朱莉の肩が震えていることに気付いていた。

(朱莉さん……。余程京極が怖いんだな……)

「大丈夫かい? 朱莉さん」

朱莉を覗き込むように尋ねた。

「は、はい……。だ、大丈夫……です……」

「もう大丈夫、京極はカフェに入ったよ」

朱莉の頭を胸もとに引き寄せる二階堂。

「あ、あの……こんな真似をされると……」

「京極が見ているんだよ。だからわざとやってるんだ。エレベーターに乗ったら離れるよ」

やがてエレベーターが降りてきてドアが開いた。二階堂は朱莉の肩を抱いたままエレベータに乗り込み、ドアが閉じると朱莉を離した。

「朱莉さん。すまなかったね。それにしても見たかい? あの京極の顔を」

二階堂は朱莉の目に、楽しそうに映った。

「で、でもあの行動は何か意味があったのでしょうか……?」

「え? 勿論意味があるに決まってるじゃないか。何せ京極は朱莉さんに気があるんだからね」

「!」

朱莉はその言葉を聞いた途端、ビクリとなった。

(そ、そんな……まさかとは思っていたけれども……京極さんが私を……?)

「ごめん、朱莉さんを怖がらせるつもりは無かったんだけど、まさか京極の気持ちにも気付いていなかったのかい?」

二階堂は朱莉に尋ねた。

「い、いえ。何となくは感じてはいたのですけど、改めて言われると、怖くて……」

「朱莉さん……」

その時、エレベーターのドアが開いた。

「降りようか? 朱莉さん」

「はい……」

****

「朱莉さん! どうしたんだ!? 真っ青じゃ無いか!」

玄関に入ると翔が現れて、朱莉を見て驚いた。そして二階堂をジロリと見る。

「先輩。まさか朱莉さんに何かしたんじゃないでしょうね……?」

「馬鹿! 人聞きの悪いこと言うなよ。俺と朱莉さんがエントランスで話をしていたら京極が現れたんだよ」

「え……? 朱莉さん……?」

「あ、あの玄関先では何ですから中へ入りませんか?」

朱莉の提案に二階堂は頷いた。

「ああ、そうだな。取りあえず上がらせてもらうよ」

****

「へえ〜。この子がお前の子か。かっわいいなあ……」

二階堂は朱莉が抱いた蓮を見て嬉しそうに顔をほころばせた。

「抱かせて貰ってもいいかな?」

すると素早く翔が答えた。

「先輩、赤ちゃん抱いたことはあるんですか?」

「いや、無い。だから練習させてくれ」

大真面目に言う二階堂の姿が面白くて朱莉は笑ってしまった
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